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TOP LEAGUE 観戦記
 
 
赤い壁、再び立ち塞がる

東京は晴れ。しかし、冷たい風が気温以上の寒さを感じさせる。
それでも試合会場の秩父宮ラグビー場には多くのラグビーファンがかけつけた。
この日の対戦相手は東芝。TOPリーグ3連覇や昨季は日本選手権でも優勝し2冠を達成するなど、言わずと知れた国内最強チームである。今季も9節終了時点で3位につけている。しかしながら今季は好調の三洋電機に完封で大敗するなど、本調子には程遠い感がある。
その東芝を相手に、前節で九州電力に快勝したIBMがどのようなゲームを展開するのか、IBMサポーターの期待は高まる。

12:00風下に陣取ったIBMのキックオフで試合が開始されると、いきなりのチャンスにIBMサポーターの期待はさらに高まった。
東芝はキックオフのボールをしっかりとキャッチすると、モールから出たボールをSO広瀬が意図的にノータッチキック。それをNo.8ロトゥがダイレクトキャッチしカウンターアタックをしかける。ロトゥからCTB阪元へ繋がると、阪元が粘り強いアタックで敵陣22mまで持ち込む。このチャンスからプレーを継続し、ゴールラインは目前に迫る。しかし、東芝ディフェンスの壁は厚く、攻め切ることができない。それでも執拗にアタックをしかけると、東芝がたまらずラインオフサイドをおかしIBMボールのペナルティ。このペナルティをタッチに蹴りだし、ゴール前5mのラインアウトとなる。

このラインアウトをしっかりとキャッチしモールを形成すると、平均身長で3.5cm、総体重で20kg上回る東芝FWを相手にゴール前までじわじわと押し込んでいく。ゴールライン目前でモールは崩されるが、東芝のオフサイドでペナルティ。これを再度タッチに蹴り出しラインアウト。このラインアウトもしっかりキャッチすると、再びモールで押し込む。モールからNo.8ロトゥがブラインドサイドをつくがゴールラインには届かない。しっかりとキープしたボールはSH山中からHO安江へとつながれゴールラインへ突進する。しかし、サポートが遅れたところを東芝ディフェンスに絡まれパイルアップとなった。この後10分までチャンスは続いたが、結果的にこのチャンスを得点に結びつけることはできなかった。

その後は少しずつ東芝の攻撃機会が増えてくる。それでも、IBMの積極的なアタックと出足の鋭いディフェンスラインに手こずる東芝もなかなかリズムをつかめない。ミスとともにチャンスを失いながらも、15分あたりから徐々に東芝が試合の流れをつかみ始め、少しずつIBMディフェンスに穴が生まれるが、それでも個人の献身的なタックルで大きなピンチには至らない。
均衡が破れたのは22分、IBMがペナルティを取られると、東芝はタッチキック。22mライン付近のラインアウトからモールを形成され、IBMのディフェンスをものともせず一気にゴールラインまで押し込まれると、そのままトライを奪われる。ゴールも決められて0-7となった。

25分にも同様の展開からモールを押し込まれると、ボールがこぼれてバックスに展開される。この連続攻撃をIBMも必死で守り続けるが、我慢しきれず自陣ゴール前で反則をおかしてしまう。そこで与えたペナルティから東芝FWにモールを押し込まれトライを許す。この時点で0-12となるが、それでも東芝の攻撃には未だキレがなく、チャンスは残っている。

32分、東芝に連続攻撃を仕掛けられるが、東芝のペナルティで何とか守りきる。これをタッチに蹴り出しラインアウト。しかし、このラインアウトをミス。こぼれ球をなんとかキープし、ラックから出たボールはSO加瀬がハイパントを上げる。東芝にキャッチされるもこれをターンオーバーし、相手ディフェンスの裏にキック。このキックはタッチに出ず、東芝がカウンターに出る。このカウンターはしっかりとタックルに入り止めるものの、オフロードパスが繋がりDFラインが戻りきれない。それに反して東芝の分厚いサポートが湧き上がる。幾度となくタックルで倒すが、サポートの数で上回る東芝に次々とパスをつながれトライを許す。ゴールも決まって0-19となった。

その後も少しずつリズムに乗ってきた東芝に攻め入られるが、ミスにも助けられこのまま前半を終了した。百戦錬磨の東芝FWを相手に体力を消耗したのか、徐々にIBM FWの運動量が落ちてきているのが気になる。
後半は風上での戦いとなる。ハーフタイムでスタミナを回復したFWを以下に効果的に動かすかが鍵になるだろう。

 
 
 

ハーフタイムを終えグラウンドに出たIBMは円陣を組み気合を入れる。
この気合には寒さも吹き飛ぶような熱いゲーム展開を期待する。そして東芝のキックで後半がスタート。奥深く蹴りこまれたキックはSO加瀬がキャッチし自らタッチに。このキックは風に乗って伸び、大きくテリトリーを稼いだ。長いキックでテリトリーを稼ぐことで、FWのスタミナを温存し、且つ有効活用できるか。

後半開始早々、東芝のラインアウトからの攻撃をターンオーバーし、IBMが攻勢に出る。左サイドのラックからSH山中−SO加瀬−FB高とつなぐと、ワイドにキック。これを東芝WTBとIBM WTB道廣が競り合う。惜しくもIBM側のノックオンとなるも、勢いよく後半が動き始めた。

そして5分、再びターンオーバーから攻撃に切り替わると、ラックから左サイドにもらったSO加瀬が右サイドへ移動し展開、徳永が抜け出し敵陣22mラインを超えたところでラックとなる。ここから出たボールをSO加瀬からFLマークへとつなぐ。マークが角度よく走りこみ東芝ディフェンスをかわすと、目いっぱい伸ばされたその手はインゴールへ。ターンオーバーからの攻撃で奪ったこの試合のIBM初トライは、東芝追撃の狼煙となるのか。ゴールが外れ、5-19となる。

その後も一進一退の攻防が続くが、東芝の攻撃に翻弄される時間帯が多くなる。11分に、東芝はFWのコントロールに長けるベテランSH伊藤から、昨年のワールドカップでも活躍したパス捌きに定評のある吉田に交替。12分、敵陣深く攻め入ると、東芝のディフェンスに手をこまねく中、SO加瀬が10mライン付近からドロップゴールを狙う。風に乗ったボールはゴールポストを通過し、3点を追加。8-19となった。11点差はIBMに勢いをもたらすのか、それもと東芝の王者の意地に火がつくのか。大きな期待とわずかな不安が錯綜する。

しかし、直後のリスタートからのロングキックは、予め深めにポジションを取った東芝バックスリーに展開されると、一気に自陣深く攻め込まれる。そして15分、素早い連続攻撃からトライを奪われる。ゴールも決まって8-24となる。
残り25分で16点差。チャンスはまだ残されている。それでも、リスタート後に東芝SH吉田の素早いパス捌きから一気にワイドに展開されると、パスとキックを巧みにコントロールされ大ピンチに。しかし、ライン際でノックオンを誘う。なんとか防ぎきった仕切りなおしのマイボールスクラム。しっかりとボールキープし敵陣に入りたいIBMだが、このスクラムを東芝に押し込まれる。FWに疲れが見え始めたか。すると、右サイドにスペースを見つけたSH山中がライン際を駆け抜ける。チャンスかと思われたが、無情にもタッチジャッジの旗があがる。

SH山中の判断力とスピードでこれまでも多くのチャンスを作ってきたが、惜しくもラインを踏んでいた。ここで、FL神白から大島に交替。東芝ボールラインアウトからモールを形成されゴール直前まで押し込まれるものの、なんとか止めると、バックスに展開した東芝に対し激しいディフェンスで応酬。東芝がペナルティをおかし、IBMボールとなる。このタッチキックもうまく風に乗せ敵陣22mまでテリトリーを返した。

しかし、このチャンスにラインアウトで痛恨のミス。東芝のテンポとスピードのある攻撃に対してなんとかディフェンスで食い下がるが、この頃からオフサイドのアドバンテージを与えながらのディフェンスが続く。

25分東芝のペナルティからタッチキック。
敵陣22mラインアウトから展開する。攻撃の主導権は東芝にあるものの、IBMも少しずつではあるがゲインラインを突破し、チャンスを伺う。ここでCTB阪元がドロップゴールを狙うが外れてしまう。この後のドロップアウト辺りからFWの運動量に差が出始める。28分にIBMがペナルティを取られると、その後のラインアウトから展開され、29分にトライを奪われる。ゴールも決まりこれで8-31となった。

この辺りからIBMの足が止まり始めると同時に、東芝の展開、プレーの継続に凄みが増してくる。
残りの10分間は、IBMの積極的なカウンター、ペナルティからの速攻もチャンスメイクにはいたらず、逆に東芝の攻撃の精度が磨かれてゆく。その後2つのトライを奪われ、最終的には8-45でノーサイド。

 
 

この日の東芝は今季の不調が嘘かのように、まとまりのあるFW・BKが一体となった素晴らしい攻撃をした。
その東芝を相手に鋭いディフェンスと個々の気迫でなかなかリズムに乗せなかった戦いは自信になるだろう。さらには、一旦リズムに乗りかけた東芝を再び迷わせたことは評価に値する。しかし、わずかなミスでその流れを自ら断ち切ってしまったことにより、余裕を奪うとともに焦りを持たせたNEC戦とは違い、東芝にはいつも余裕が感じられた。ピンチを防いだ直後のキックミスやラインアウトのミスは防げるものである。そこで再び集中力を持つことが次のプレーにいいきっかけを与え、そのプレーが対戦相手に焦りをもたらせるのではないだろうか。

次節の三菱重工相模原戦は、一般的な予想は勝利。事実、IBM本来の力を発揮すれば確実に勝利できる相手だろう。しかし、ほんの小さな心の隙や過信に足元をすくわれることもある。この日の敗戦が大いなる糧となり、残された3節で花開くことを期待する。

今節終了時点でIBMは11位となった。上位7チームのプレーオフ進出争いとともに、下位7チームの残留争いもさらに過熱してきた。最終節終了まで、何一つ予想できない展開となり、ここから先は各チームの執念がその権利を手繰りよせる。

残りの3節、IBMが勝利と勝点を積み重ねてゆくその姿だけをただ想い続ける。

 
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